3D技術情報

3Dデータについて

3Dデータとは?

3Dデータって何?

3Dデータとは?

3Dデータとは「パソコン上で立体物を表現しているファイル」の事です。2Dプリンターで印刷物を作る際、元の原稿のファイルがないと印刷できません。

それと同じように3Dプリンターで造形する際には、設計された3Dデータが必要となります。

設計図の歴史

ものづくりの最初の工程で、まずは作りたいものの「設計図」を書く必要があります。

ものづくりは企画、デザイン、設計、製造、生産、品質管理等、様々な人が関わります。
そのため「設計図」は製品が完成するまでの工程で皆が誤解なく同じ情報を共有できるように綺麗で分かりやすく正確である必要があります。そのために設計者は綺麗な図面を描くための以下のような様々な道具を使用して設計図を描いていました。

図面の展開図や表示方法は洗練され正確に、そして道具は進化し整った図形を描くことができるようになりました。

しかし、やはりペンで紙に描くというアナログの技法にはいくつかの大きな課題がありました。
大きさや線の細さの不金一、線のゆがみや擦れ、修正の大変さや図面の管理等です。
そんな中パソコンの登場という大きな転機が訪れます。
パソコンの製図用ソフトウェア「2DCAD」を使用して図面を描くことによって道具の習熟の工数が減り、正確で美しい図面をより簡易的に作製、管理する事が可能になりました。
2DCAD時代の幕開けです。

この30年パソコンは驚くほどの速さで進化しました。
昔は1部の特殊なPCでしか扱えなかった情報量を一般的なパソコンでも簡単に処理できるようなりました。
そこで設計の手法として設計者の頭の中で立体を設計し図に描きだすという2D的な表現手法ではなく、パソコンの中の仮想空間で最初から三次元の立体で設計していくという手法が可能となりました。
3DCADの登場です。
2Dより圧倒的に情報量が多い為、以下のような

・2D図面は矛盾が生じるが3Dで設計することにより矛盾のない正確な設計を行う事が出来る
・複雑な形や部品同士の組付の表現を正確に行う事が出来る
・実物と同等の形状を様々な方向から確認し
製造にかかわるすべての人に正しく共通認識が行う事が出来る為
工程移行の段階で発生する誤解がなくなる
・3Dの立体情報から物を作る前段階でのシミュレーションや解析ができる
・本物のようなイメージ図の作成が可能

設計、製造に対する非常に多くのメリットがあります。
その中でも非常に大きなものとして製造機械(NC加工機/3Dプリンタ等)に読み込むと3Dデータ通りに加工、製造してくれるという事があげられます。

3Dデータを作製するという事は、それを元に様々な機械やツールをフル活用し、少ない工数で広範囲の事を非常に効率よく行う事が出来るという事です。
このように多くのメリットがあるCADですが、開発にあたってソフトウェア開発者はパソコンで絵や図を表現できるようにしなければなりませんでした。
パソコンは数字(0と1)しか認識することが出来ません。
ソフトウェアの開発者は数字だけしか使えない制限の中、設計者にとってどのような手法で「形状」や「図」を表現するのが適切なのかを考える必要がありました。

データの種類と表現方法について​
~2種類の表現方法~関数と座標~

現在3Dデータ作製ツールで使用されている表現方法は大きく分けて2種類あります。それが「関数」「座標」です。

関数

座標

主な名称

CADデータ/ベクター(ベクトル)データ/NURBS/パス(2D)/スプライン(2D)/ベジエ(2D)

ポリゴン/メッシュ/ファセット/ラスター/点群/アスキー/ポリライン(2D)/画像(2D)

表現(記述)

Y=2X

(3,6)(2,4)(1,2)(-1,-2)(-2,-4)(-3,-6)

作製ツール

3DCAD全般

CG/CT・MRI/3Dスキャナ/フォトグラメトリ

中間ファイルフォーマット

(拡張子)

.x_t/x_b(Parasolid)/.iges/.STEP

.stl/.obj/.ply/.wrl(VRML).x3d

メリット

数値制御が容易/寸法精度が高い/部品の組付けが容易/作業履歴が残る

高い自由性/複雑形状の表現

デメリット

操作、形状に融通が利かない/制限が多い

データ容量が重い/寸法精度が悪い

何故2種類の表現方法があるの?

何故2種類の表現方法が現在混在しているのかというとそれぞれにメリット、デメリットがあるからです。何を製作するかによって得意、不得意があります。

関数の特徴

係数(赤字の値)を変えれば線の形をすぐ変えることができる。よって線に特性を持たせられる。

この特性の為、機械設計のような寸法制御が多くまたトライアルで値を何度も変える必要がある用途で使用するツールに採用されている。基本的に3DCADはほぼ全てこの関数で表現する方法を採用している。

座標の特徴

それぞれの座標の値(位置)の変更を行う事により複雑形状の表現が可能。

この特性のため有機物やデザイン性の高い複雑なものを製作する用途で使用するツールに採用されている。多くの3DCG、基本的なリバースエンジニアリングソフト(3Dスキャナデータ処理ソフト)、3Dプリンタの入力フォーマット等。概ねポリゴンと表現される。

関数、座標による表現のメリットとデメリットは裏表になります。例えば関数のデメリットとして、有機的で複雑な形状は表現できません。
できたとしてもとても多くの手数が必要になるでしょう。では座標で表現するのがいいかと言われると関数のように係数を変えるだけで形状を変える事が出来ず値を一つづつ変えなければならないので非効率な場合があります。どちらも一長一短があるのでお互いを補完する形で現在も2種類の表現方法が現在も存在しています。

今後はこれらのデータの特徴を十分に理解し、それぞれの得意分野で両方を活用していくことがますます重要になってきます。

PAGE TOP